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2018年10月26日

第5回 後藤まどか(プロデューサー)

第5回演劇人インタビュー

 

第5回演劇人インタビューはプロデューサーとして活躍されている後藤まどかさん。演劇との出会い、プロデュースの醍醐味、そして若い観客への熱いメッセージをお届けします。

後藤まどか
東京都出身。筑波大学日本語・日本文化学類卒業。
学生時代から制作助手や劇場付きなどを経験し、(有)Nextを経てフリーに。
2014年(株)atlasを設立。プロデュースや、制作進行、票券業務などを行っている。
プロデュース作品に「あなたの初恋探します」「Indigo Tomato」「うつろのまこと」「フェイス」「シスター」等。

Q.まず、どのようにして演劇に興味を持たれましたか? また、演劇の道に進まれたきっかけは何ですか?

私の家がたまたま月に一回コンサートかミュージカルに連れて行ってくれる家で、母が必ず連れて行ってくれました。
最初に観たのは2歳のときの『ピーターパン』だと思います。そこからハウス食品の名作アニメをミュージカル化したものを夏休みに観たりとか、東宝ミュージカルや野田地図、宝塚を観たりしていました。舞台を観るのが普通な環境で育った私は、少し大きくなってから「たまたま家がそうだっただけだ」ということを知り、驚きました。
当時は特にミュージカルや宝塚にはまっていて、周りが少女まんが雑誌「リボン」(集英社)などを買っているときに「シアターガイド」や「月刊ミュージカル」、「歌劇」や「ソワレ」を買っているような子供でした。
更に小学校4年生のときからは「一人で行けるでしょ」と言われて、母の作ったお弁当を持って一人で 劇場に行っていました。

当時から舞台を観るのが好きだったけれど、表に出たいということでは全然なくて。どちらかというと劇場の制服を着ているお兄さん、お姉さんに憧れていました。ピアノや声楽を習っていたというのもあって、開演前のオーケストラのチューニングを聞くだけでもテンションが上がっていました。

むしろ将来なりたかったのは日本語学者でした。これもご縁があるんですけど、永井愛さんの『ら抜きの殺意』という戯曲が中学校の国語科の授業中に配られて、「日本語の乱れってあるのだろうか」といったテーマを授業で扱って、それがすごく楽しかった。中学校くらいから日本語学者になりたいと思っていました。それで大学に入って、日本語学を勉強していました。
大学2年生までは大学院を目指して勉強をしていましたが、青春18きっぷで旅行をしたときに宝塚大劇場で『王家に捧ぐ歌』を観て、お客さんたちがとても感動しているのが客席にいても伝わってきて、「もしかしたら私が携わりたいのはエンターテイメントの仕事かも」と思って、シアターガイドの掲示板にある人員募集を見て制作助手を始めました。

大学の卒業論文では「日本でどのようにしたら観客が育つのか」という研究テーマに取り組みました。日本は例えばお隣の韓国のように演劇が日常生活の中に溢れているかと言ったら違っていて……。やっている側の生活が成り立たないとやっていけないし、安心して夢を追える環境は日本ではまだまだだな、というのは感じています。
日本では海外でヒットしたグランドミュージカルしか観ない!という方もいらっしゃると思いますし、日本のオリジナルミュージカルや韓国ミュージカルはそういった作品に比べて興行的に難しいかな、とも思います。ただ、それでも定着させるためには興行的には難しくてもやり続けていかないといけない、という思いもあります。やり続けることで作品のファンも増えるし、見てくださってくれる人もいますし。『シスター』という朗読劇は篠井英介さんが出てくださったときに、お客様がすごく温かく待っていてくださっていて、なんだかとても励みになりました。

Q.今年再演もされた韓国発ミュージカル『あなたの初恋探します』はどのような経緯で上演されたのでしょうか?

『あなたの初恋探します』は独立することになったときに、最初にやるならこの作品を思い手掛けた作品です。やるからにはご一緒したいスタッフとキャストとやろう!と思っていて。初演で大変勉強させて頂き、昨年違うキャストで上演し、今年初演キャストでやりたいというのはすぐ決まって、今年の再演につながったという感じですね。

キャスティングは、他の作品を観ているときに見つけたり、あと自分の直感を信じるというのもありますね。ただ、今回の『あなたの初恋探します』の再演はカンパニーの“年の取りかた”が非常にいい形で作用して、主役の2人のカップルの感じがよりナチュラルになりまして。最初キャスティングしたときにこうなればいいなと思ったところにすごく近づいていきました。

10月から始まる『スモーク』という作品でも一部がWキャストなんです。例えば女性の役はその役柄に対して母性とか、知性とか、優しさが必要だと思ってキャスティングしましたが、母性が強い人と、若いけれどつつみこめそうなお芝居の人を選んでいて。やっぱりこのWキャストはありだったなと思えることが楽しいですよね。
自分の直感を信じないと作品を作ることは難しい。キャスティングは演出家と一緒に相談することもありますが、自分にまかされているときは冒険もありつつも太鼓判を押せる人をと思っています。すべて自分の責任ですから。プロデューサーとしては作品の一番の理解者になって、アンテナを張り巡らせてお願いするということが必要ですね。

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