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2018年11月2日

文学座附属演劇研究所研修科発表会『見よ、飛行機の高く飛べるを』

文学座附属演劇研究所2018年度研修科第1回公演『見よ、飛行機の高く飛べるを』Aチームのゲネプロにお邪魔しました。

撮影=宮川舞子

アトリエに足を踏み入れると、そこには女子師範学校の寄宿舎。センターにある階段と下手にある談話室が特徴的です。

舞台は明治末期。日本は日清戦争日露戦争と立て続けに勝利を挙げ、絶好調。そんな中女性は良妻賢母であることが美徳とされ、女性に自由はない。しかしそれに反抗し、女性は太陽だと主張する平塚らいてうが『青鞜』という雑誌を出す。これを目にした女子師範学校の2年生杉坂初江(小野瑞季)と4年生光島延ぶ(中原三桜里)は意気投合し、制限だらけの学校を変えるべく立ち上がる。

この作品でまず注目したい点は、演出です。初めはなぜ、談話室だけでなく廊下まであるセットなのかが分からずにいました。しかし、話が進むにつれ、談話室の中と外が見えることに大きな意味があると気が付きました。1つの部屋だけの舞台装置では部屋の中の表情や言葉が全てで心の中は想像することしか出来ません。でもこのセットでは、ドアを閉める時の力加減や表情、談話室の外での会話が同じ舞台上で表現されるため、人間の二面性や内面に秘めた気持ちがしっかり目に見えるのです。このことにより説得力が増し、一人一人のキャラクターが際立っていたように思います。

撮影=宮川舞子

 

また、この戯曲を今上演するということにも意味があると感じました。20年以上前に書かれたにも関わらず現代社会にも強く訴えかけてくるものがあったのです。女性差別反対。確かに最近は女性の活躍が目立ち1900年代に比べれば女性の生きやすい世の中だと思います。しかしまだ「女流作家」「女性政治家」など、何かとわざわざ「女性」が付けられるているのです。
では一体どのくらいの現代人が杉坂初江や光島延ぶのように、不条理な社会に立ち向かい、女性の自由を取り戻すのだ!と考え行動を起こせているか。ほとんどの人が1人で何かしたって仕方ないと思い込み、何も出来ずにいるのではないでしょうか。しかしこの作品を観れば分かります。初めは1人2人の小さな力でもそれは波のように広がっていき周囲の人を動かす大きな力になり、世界を変えられるのだと。

女性差別だけでなく、戦争や貧困など様々な問題が現代にもあります。それらを解決し、平和な世界にする元は誰かの小さな力なのです。今まで女性の地位向上を始めとする様々な行動を起こして来てくださった方々に感謝しつつ、今度は私たちが一歩踏み出し飛ぶ時です。あの飛行機のように。(文責:見上)