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現役高校生・大学生による
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2018年1月25日

文学座附属演劇研究所研修科55期生インタビュー

植田真介(文学座附属演劇研究所主事補佐)

―研究所主事補佐としてどのようなことをされていますか。

基本的に主事がカリキュラム編成や予算組みなど事務的な部分を負っていて、僕もその部分を手伝うことはあるのですが、僕が主事補佐として一番負っている部分は、わかりやすく言うと、研究生の生活指導と保健室の先生といったところでしょうか。研究生からは最も相談しやすい親しみのある存在であると同時に油断できない厳しい存在であると認識されていると思います。 それと、文学座附属演劇研究所の入所を志す人材を求めて、各地の学校などを回って説明会や講義をしたりと、新人発掘的な活動もしています。

―研究所主事補佐になられたきっかけは。

21世紀に入ってから約10年間、研究所の受験者数が減り続けていて、当時の主事の方に、研究所の宣伝広報的な部分を変えてみたらどうですか?と提案したことが研究所に関わるきっかけでした。その頃は研究所の宣伝に関わるだけで研究生に対しては今ほど深い関わりは持っていなかったのですが、4年間研究所の宣伝広報を務め受験生も戻り、宣伝広報の改革も一段落したところ、今回の卒業発表会で卒業する55期生が本科だった時の秋に、現主事の方を補佐するという役割になりました。

―55期生の印象は。

55期生は本科の秋~冬は結構僕に怒られてたと思います。「どうしたらいいですか?」みたいな発言をする子が多かったんですけど、こちらが全部決めて、教えて、やらせる、みたいな。それはつまらないんじゃないかと思って。でも、この問題は、これまで何十年と実績を積み重ねてきた研究所が抱えてしまった悪い部分でもあると思うので、彼ら研究生だけのせいじゃないとも思うのですが…。ただ、物分かりがよくて普通に良い子は目指してほしくないなと思いました。 ちょうど55期生が本科に入所する前年の研修科には主張の激しい子が多くて、研究所に対して色々な想いをぶつけていたので、その勢いを減速させないためにも55期生の研修科には、「質問じゃなく提案を」「前例は変えていい」と頻繁に言いました。 研修科2年生になってからここまでの1年間は、ただお芝居をつくるだけじゃなくて観に来て下さるお客様に対してどう楽しんでいただこうかということまで考えていたようです。アクトだけでなくクリエイティブなことをしたいという想いを共有していたようで、発表会の稽古がない時でも全員で集まって色々議論していました。自分たちが何をしたいのか自分たちの表現のエネルギーをどこまで広げていけるのか真剣に考えることで演技のほうにも良い影響が出ていたと思います。傍から見て大変そうだなと思いましたが、一所懸命に取り組む姿を見て応援していました。 この1年間は、「こういうことをしたいです」と具体的な提案を受けることが多くて大変でした。でも悪くない1年でした。彼らから提案を受ける度に、主事補佐の本当の存在意義を教えられた気がします。

―55期生の発表会で印象的なものは 研修科2本目の『キル』ですかね。

演出の小林勝也さんがプレ稽古をやったりと面白がっていろいろやってくれたこともあってみんな変わったのかなと思います。いい熱量でした。昨年の10月に行った『ペンテコスト』も印象的です。これは僕が研究生だった頃に文学座アトリエの会で観て衝撃を受けた作品でしたので。

―卒業公演の『美しきものの伝説』を上演するにあたって思うところは。

『美しきものの伝説』は55期生にとって高いハードルだと思います。オーソドックスな新劇の研究所らしい作品ですよね。3年間色々な作品に取り組んできたからこその集大成になるよう期待しています。でも、卒業といえども彼らにとっては終わりではなく通過点ですから、今まで見たことのない姿を見せてくれることを期待したいです。

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