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現役高校生・大学生による
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2017年1月18日

地点『ロミオとジュリエット』稽古場レポート

  「地点」の作品は、古典戯曲が解体と再構築され、そこに「地点語」ともいわれる独特の発話法が加わっておかしみを生む。物語として筋が分かりやすいかと言えば必ずしもそうではないが、もとの作品の魅力は損なわずにわたしたち観客に作品の新しい見方を教えてくれる。そんな独特の魅力を持った地点の作品はどのようにして作られているのか。稽古場に伺ってきた。  

 地点の作品作りはセリフの取捨選択から始まる。俳優たちが『ロミオとジュリエット』のテキストをどんどん読んでいく。役とは関係なく俳優がセリフを順に読み上げ、演出の三浦基はOK/NOと短い一言で取捨選択をしていく。その選択の理由は見学している私にはまったくわからない。きっと三浦が「おもしろい」と思ったセリフ、そして物語のおおまかな流れの中で必要だと思ったセリフを選んでいるのだろう。  

 使うセリフが固まると、三浦が演出をつけていく。俳優たちは与えられたセリフを独特の発話法で発していく。基本的に発話は、地点語を駆使したうえで、俳優たちの基準である程度自由に行われていく。しかし三浦の中には確固としたビジョン、理想の形があるようだ。発話に関して演出をするとき、その指示は抽象的だが俳優たちはその内容をしっかりと理解し、求められている以上のものを提示しているように見えた。三浦はそれを楽しそうに観て、声をあげて笑う。まずは三浦を面白がらせることができるかが勝負だと感じた。そうして演出家と俳優の信頼関係の上で作品が成立していく。これは地点が劇団という形で長年活動することで培ったものなのだろう。  
 今回、稽古場を見学して、地点の稽古は「空白を埋めていく作業」だと感じた。古典戯曲を解体、再構築した際に抜け落ちた余白、それを地点語と身体動作で埋めていくことで作品に対して、密度と、じわじわと広がっていくような感動を与えていくのだろう。 地点はいったいわたしたちにどんな『ロミオとジュリエット』を見せてくれるのか。戯曲を読んで観劇するもよし、前知識なしで観劇に臨むもよし。新しい世界への扉を開く体験になるに違いない。(石本)

【公演情報】
地点『ロミオとジュリエット』
公演日程:2017年1月20日(金) 〜2017年1月21日(土) 
会場:早稲田大学 大隈記念講堂 大講堂
作:ウィリアム・シェイクスピア
翻訳:中野好夫
演出:三浦基
出演:安部聡子、石田大、小河原康二、窪田史恵、河野早紀、小林洋平、田中祐気
音楽:空間現代