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現役高校生・大学生による
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2017年1月19日

20歳の国『花園RED/BLUE』稽古場レポート

 1月の凍てつく寒さのなか、20歳の国『花園BLUE/RED』の稽古場に向かった。稽古場のドアを開けるともわっとした熱気と煙ったような匂いと、そして湿布の鼻につく匂いがした。そしてそこには半袖の男たち。むさくるしい。男子校と言われて大半の人がイメージするような絵がそこにはあった。しかし、それはただむさくるしい男たちが集まっているわけではない。高校を卒業して何年も経っている男たちが、役者として、男子高校生のむさくるしさを身にまとっている。

 稽古に臨む彼らの目はいたって真剣だ。稽古も大詰めになってきたこの日は演出の再確認と微調整、通し稽古が行われていた。演出にあたっては人間同士の関係性をいかにして浮き彫りにするか、ラグビーシーンとセリフシーンの見せ方の違いを、試行錯誤しながら竜史が演出していく。出演シーンでない役者たちは稽古場の端で自分の役柄を掘り下げるディスカッションをしたり、筋トレをしたりと少しの時間も無駄にしないように稽古に臨んでいる。

 そしてこの日は『花園BLUE』の通し稽古。この作品は闘球祭(=クラス対抗のラグビー大会)までの3日間を中心に描いたストーリーとなっている。闘球祭に熱を上げるもの、まったく興味のないもの、それぞれに意識の違う生徒たちが代わる代わる舞台上に現れる。 物語は不良たちが屋上でタバコを吸っているシーンから始まる。いかにもといった体裁の不良たちだ。そしてそれがいつのまにかラグビーのシーンへと変貌していく。決して広くない稽古場を所狭しと駆け回る男たち、鍛えられた肉体がぶつかり合う乾いた音、吐く息と体の底から響く声、ボールが跳ねる鈍い音、靴と床の擦れる「キュッキュ」とした音。ラグビーだけでなく、スポーツを観ることの魅力というのは予測できない動きと駆け引きにこそあると思う。20歳の国の花園RED/BLUEのラグビーシーンからは、そんなスポーツの魅力を最大限感じることができる。ラグビー経験者を中心に練り上げられた動きはまさしく眼前で本当に試合が繰り広げられているようだ。このシーンだけでも十分に観に行く価値がある。

  『花園BLUE』は、しっかり起承転結があるストーリーというわけではない。しかしそれでも決して退屈しない。日々は止まることなく緩慢に流れてゆくなかで、自分は何者であるのか、存在意義を見出せずにもがき苦しむ高校生の姿がまざまざと描かれている。その問いの答えを見つけるため、心の穴を埋めるため、暴力に走るもの、非行に走るもの、部活に打ち込むもの… それぞれが自分の居場所を探して葛藤する姿は切なくむず痒い。そうした姿に自分を重ね合わせることも、共感はできずとも自分の高校時代の姿を思いだすことはできるだろう。観る人によって受け取り方は違えど、きっと何か感じる思いがあるはずだ。  

 『花園BLUE』、すさまじい熱量と作りこまれた脚本・演技で観客のみなさんをその世界に引き込むこと間違いなしです。どうぞ涼しい格好で劇場にお向かいください!(石本)

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