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2018年2月1日

岩松了プロデュースvol.3『三人姉妹はホントにモスクワに行きたがっているのか?』稽古場レポート

1月19日

撮影=橋本 一郎 禁無断転載

連載稽古場レポート、今回も稽古場に入ると、そこでは俳優の皆さんが自主稽古を行っている最中でした。木造の稽古場では、あちこちでいくつかのグループのようになって集まり、時には1人で何度も台詞の言い回しを研究していたり、また時には2、3人で読み合わせをしながら登場人物の気持ちを確認したり、と活発なやり取りがなされます。また俳優部がスタッフワークを兼ねているため、衣装を考えるのも俳優自身。更に作品は日々稽古場で変わっていくので、それまで稽古していた部分の確認や通し稽古も自主的に行おう、と一週間後の本番に向けてミーティングもされていました。若手俳優のみなさんが自分たちの手で舞台を作り上げようとする熱意が感じられました。

作・演出の岩松了さんが稽古場に到着されると、終盤のシーンの稽古を行っていきます。それまでの和やかな自主稽古から一転してピリッと張り詰めた、スピード感のある立ち稽古が始まります。

岩松さんの指を鳴らす合図で稽古をする場面が始まりますが、気になる部分があるとすぐその場で止めて演出が入ります。中には「台詞が会話になっていない」「台詞がない時でもリアルな反応を」という厳しい演出も。息つく暇もないくらいスピーディーに同じ部分を何度も稽古→ダメ出し、を繰り返していき、瞬発的に作品が変わっていきます。一人の俳優の台詞の言い回しを細かく指導して、より感情が伝わるものにするために時には岩松さん本人が実際に演じられることもあります。また俳優が身体を使って気持ちを考えることができるように、手足の動きや姿勢も一緒に演出することで、一つ一つの演技をより実感のこもったものにしていきます。

撮影=橋本 一郎 禁無断転載

一つ一つの台詞や動きを丁寧に作っていくことはもちろん、それが全体の大きな流れの中でナチュラルに動いていくことも重要です。例えば、誰かが話しているときには、声の方に振り向く。この動作をするのにも、決まりごとのように振り向いてはリアリティが生まれません。話している人が話し始めるタイミング、話している言葉に意識を向けて常に動きは変わっていく。少しでもそこに不自然さがあると、また稽古は最初のシーンに戻ります。相手の台詞を聞き、瞬時に反応していく。いろいろな人の演技が組み合わさることで生まれる空気感に乗っていく。岩松さんと、その演出に反応していこうと試行錯誤を繰り返す俳優の方々との間には張り詰めた集中力が感じられ、稽古を見ている側もその熱量に引き込まれてしまいます。

フレッシュな若手俳優と岩松了さんの稽古は緊張感と勢いがあり、よりリアルな感情、リアルな演技を引き出していこうと、白熱した稽古が繰り広げられていました。立ち稽古も終盤になり、ますます初日が楽しみになってきました。(文責:小林)

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